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炭層メタンと石炭地下ガス化

炭層メタン

(CBM : Coal Bed Methane)

石炭層内には、石炭が生成される際に発生したガスが含まれており、炭層メタン(CBM)と呼ばれています。CBMは天然ガスと同じメタンガスが主成分で、化石燃料の中では最もクリーンなエネルギーです。北海道内には多くの石炭資源と共にCBMが未利用エネルギーとして残されており、特に石狩炭田のCBM資源量は、我が国の天然ガス埋蔵量に匹敵するともいわれています。

CBMの開発は地表からのボーリング(数百~千メートル)により行われ、条件によっては1本の孔井から1日数千m3のCBM回収が可能です。この量は数百世帯が1日に消費するエネルギー量に相当します。CBMは通常、その90~95%以上がメタンであり、ガス発電の燃料、重油に代わるボイラ燃料、ガソリンや経由に代わる自動車燃料としての利用のほか、水素やDME(ジメチルエーテル)など次世代エネルギーの原材料としても利用可能です。また、燃焼時に発生する二酸化炭素を分離・回収して石炭層に圧入・固定することで、CBMを増産する効果も期待できます(CO2-ECBM)。

未利用エネルギーであるCBMをローカルエネルギーとして有効活用することで、エネルギー多様化によるエネルギー供給の安定化、低炭素社会の構築、地域社会の活性化に貢献することを目標に、NPO法人地下資源イノベーションネットワークは関係大学、研究機関、北海道、夕張市、民間企業などと連携し、CBM有効活用の実現に向けて活動を展開しています。

炭層メタン開発有望地域と資源量
炭層メタンローカルエネルギーネットワーク

石炭地下ガス化

(UCG : Underground Coal Gasification)

石炭の地下ガス化は、地下の炭層に坑井を掘削して原位置で石炭をガス化させ、一酸化炭素、水素、メタン等の生成ガスを回収する技術です。生成ガスは、直接燃焼させて発電等に利用できるほか、液体燃料や化学製品の原材料としても利用可能です。UCGは、硫黄や窒素酸化物、水銀の排出などの公害抑制に関しては効果的であり、石炭灰処理の必要もありません。

従来の採掘方法では、技術的あるいは経済的に採掘できない石炭を地下でガス化することで、利用可能な石炭資源を大幅に増やすことができます。既にオーストラリアでは商業ベースのUCGプラント操業を見据えた大規模な実証試験が始まっており、着々と成果を上げています。また、アメリカ、カナダ、イギリスを始め世界各国においてもUCG計画が次々と発表されています。

NPO法人地下資源イノベーションネットワークは、室蘭工業大学、北海道大学、九州大学と連携して、世界のUCG関連情報の収集に努めると同時に、各大学と共同で、北海道三笠市において石炭ブロックを用いた石炭ガス化基礎実験や露天炭鉱での小規模石炭地下ガス化実験を実施し、基礎データの蓄積を進めています。また、室蘭工業大学の寄付講座「未利用資源エネルギー工学講座」の活動を支援し、三笠市での石炭地下ガス化実証試験の実現に向け活動を行っています。

石炭地下ガス化概念図
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